シングティモーネ 終演のごあいさつ 番外編 ソニアへ

自分の役について話すの実は初めて。
お客様が見て感じたソニアが全てだと思うし、
役者本人が役について言及するのって野暮だなあとも思うのですが(人のを聞くのは好き)

ソニアに関しては消化しきれない気持ちが沢山あって、
供養みたいな気持ちで、ほんの少し吐き出させてください。

独断と偏見に満ちた個人の見解なのであしからず!


大変に苦労したんです、そりゃもう!笑
結婚して、二人産んで、いまだに旦那とラブラブって
経験無さ過ぎて今から大統領になります!ぐらい無茶と思ってました(…)

 

母性とか愛とか形の無いものって難しいですよね。
今でもこういうものです!って説明できないし、
相手の数だけ生まれるものだろうなと思うのだけど。

なんかね、自分の旦那が狼に食い殺された後に、クリンに優しくできるなんてすごいですね!母性感じました!というようなことを何度か言って頂いたのですが、

ビアスが襲われた時に思ったのは、狼への恨みじゃなくて、
自分でも不思議な感覚なんだけど「この人と結婚して良かった」でした。

決断が迫られた時に、真っ先に自分の命より息子を守る人と結婚して、子供を産んで良かった、私の選択は間違ってなかったと。

だから、あの時頭にあったのは、
あの人が命と引き換えに守ったこの子を、なんとしてでも生かさなければ、だったように思います。
何かを守ろうとする時に生まれるのかもしれないですね、母性って。


あと、一番辛かったのが再婚。
友達がこの道を選んだなら、幸せになんなよ!って送り出せると思うのだけど、
いざ自分がやるとなると、もう死んだほうがマシと思うくらい辛くて、
いっそ私も殺してくれと何度か本気で主催に頼みました(…)

 

それでもやんなきゃならんなと、渋々再婚してたんですけど、
本番中にね言葉をもらうことがあって、ふと台本を読み直していた時に、

ああ、トビアスを思い出にしなきゃいけないんだなって思うタイミングがあって。

ビアスがいる時はあの僅かな時間が愛おしくて待ち遠しかったけど、
ビアスがいなくなった後に、この時間は僅かで寂しいものだって気づいちゃったのかなと。
だし、その短い時間じゃソラを守ってあげられない…と思ったんだな、と。

家族の歌の歌詞がね、絶妙に変わるんですよ、
「何をするにも一緒のほうが特別になる、それが家族よ」から
「愛する家族傍にいるから、世界の全て特別になる。」

大きい意味では一緒なんだけど、絶妙に家族の考え方が変わってるんですよね、
まみ天才かよ~~~~~~(…)

今大切なのは、信じることよりも、傍にいることだって
夢から醒めて、現実を見なきゃって思ったのかもなあ~と。

だから途中からコンラードを望んで選ぶぜ!って気持ちでやり始めたのだけど、
まー辛すぎて泣きました(…)
お風呂でも泣いたし、本番中の楽屋でも泣いた(…)

私はトビアス一家のソニアでいたかったし、
何よりもソラをね、一人ぼっちにするのが本当に忍びなくて。

本当は一緒にトビアスのこと想っていたかったけど、
生きるために、ソラのために、コンラード一家のソニアになることを自ら望んで決めて、
それをソラに押し付ける覚悟もしたので、
ごめんね、本当にごめんね、という気持ちでいっぱいでした。


はーーーースッキリした!笑
書いてて思ったけど、色んな事にごめんなさいという気持ちが強くて、
とにかくよく泣いた舞台でした、シングティモーネ。

 

今までの自分では色んなものが足りなくて、
身投げするように自分合わせて、身を削りながら向き合った役でした。

辛いことも悲しいことも沢山あったけど、
楽しいことも嬉しいことも、より色付いていたように思います。
愛ってそういうものなのかも。

でも、もう大切な人を失うのはこれが最後がいいなあ…笑

見たくなかった自分も、不甲斐ない自分も沢山見たけど、
知らなかった自分も知れて、この役がやれて良かったなと本当に心から思います。
ソニアという役を頂いたことに、感謝を込めて。

 

ありがとうソニア、お元気で。